直仁の「善き人のための」研究室

読書、ペーパークラフト、フィギュアスケート、散策などの雑感

蝉考

近くのマンションの前で、植栽の木で鳴いているセミを虫網で捕まえようとしている母親を見た。脇で虫籠を持った小さい男の子が見ている。ああ、お母さんじゃなくて自分で採った方が面白いのに、と思いながら通り過ぎた。その子がお母さんに頼んだのか、お母さんが取ってあげようと自ら臨んだのかわからない。でも、やっぱり虫取りは自分でやった方が楽しい。失敗したら悔しくて、他の木に行っては何度も試してみればいい。
この辺りのセミはアブラゼミかクマゼミだ。アブラゼミはジリジリと鳴き、クマゼミはシャアシャアと鳴く(ように聞える)。自分が子供の頃住んでいた豊田市松平町辺りでは、アブラゼミ、ニイニイゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシが主で、時々、ミンミンゼミがいた。アブラゼミは羽根が茶色なのであまり好きではなく、沢山採れるのに嬉しくなかった。ニイニイゼミも小さくて羽根が石のような茶色のようなで美しくなくチビなのでそれほど嬉しくなかった。ツクツクボウシは透明の羽根で鳴き声も独特だったので好きだった。また、目の高さくらいの小さな木にも止まっていたのでよく見つけては網で採っていた。ヒグラシは夏も終わりくらいになると夕方から鳴き始め、一日もお終いかあ、という気だるい気分とともに聴いていたのを思い出す。クマゼミはいなかった!クマゼミは憧れのセミだった。隣りの岡崎市のとある神社の境内にいると聞いて一度だけ行く機会があって探した記憶がある。とても背の高い太い木が何本も立っている場所で、木の上の方でシャアシャアと鳴いているクマゼミの声を聞いた。木が高すぎてセミの姿を捕える事はできなかった。図鑑で見るクマゼミは、黒くて大きくて、透明な羽根を持ち、まさにセミの王様だと思った。これがこの木にいるのかという嬉しさと捕まえられない、見られない残念な気持で帰って来た。
それが今、春日井に住むようになってクマゼミは身近だ。低い木に何匹も掴まっている。素手で捕まえられるし、場合に依っては、向うから家のベランダに落ちて来て下さる。もう王様ではない。憧れだったクマゼミは普通のセミで羽根が透明だからちょっといいかなというランクに下がってしまった。欲しいものは手に入るとつまらなくなる。
それにしても最近のセミは馬鹿なのだろうか。昔はニイニイゼミ以外は素手で捕まえる事なんてできなかったが、今やニイニイゼミ並みの鈍さになってしまったのだろうか。それとも自分の身体の切れが良くなったからなのだろうか。子供たちよ、近くの木を良く見てごらん。セミがたくさんいるじゃないか。そっと近寄って、そっと手を出して、パッと背中の羽根の附け根のあたりを二本の指で挟むように捕まえてごらん。そしてお母さんのところに持っていて自慢すればいい。
10年ほど前に福島県に旅行に行き、朝の散歩の途中で羽化する途中のアブラゼミを見つけた。白くて美しかったので写真に収めた。よく見ると、すこしすでに茶色がかってきているが、背中は何とも言い難い虹色のような金色のような白色に淡く輝いている。アブラゼミは、面白くなかった子供時代にも家の裏庭に立てかけてあったシイタケ栽培のほだ木にとまって羽化しているのを見たことがあるが、あまり近寄っては見なかった。大人になって写真に撮ってじっくりみると、アブラゼミはなんとも美しかった。
あぶらぜみ
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