直仁の「善き人のための」研究室

読書、ペーパークラフト、フィギュアスケート、散策などの雑感

あのころはフリードリヒがいた

あのころはフリードリヒがいた
今はいない(死んでしまった)
同じアパートで同じ年に生れた仲良しのユダヤ人の少年フリードリヒ
彼はいない
第二次世界大戦中に彼は亡くなり、1961年にドイツ人作家ハンス・ペーター・リヒターによって書かれた
彼の少年時代の実話なのだろうか
フリードリヒが若くして死を得るまでの「ぼく」とフリードリヒと、両家の家族と街の人々との間でおきた出来事が年を追ってエピソード風に語られる
迫害されるユダヤ人親子とのつきあいの記録を通して当時のドイツ国内の空気が漂ってくるようだ
感情的な表現は一切無い
事実を客観的に淡々と記述していて却って彼等の凄まじい体験のリアリティーを感じる

フリードリヒが死んだ場面で突然にこの話は終る
物語としてはあまりにも物足りない終り方だが
世界との断絶、のような作者の心はこうした終らせ方でしか表現できなかったのかもしれない

訳者は上田真而子さん、エンドのはてしない物語などの児童文学の翻訳者
出版は岩波少年文庫である
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