直仁の「善き人のための」研究室

読書、ペーパークラフト、フィギュアスケート、散策などの雑感

やな

昨日は豊田市の実家に顔を出した。父親が下山のやなに行きたいというので、昼ごはん目当てに行った。
「やな」は川の流れを集めて小さな滝を作り、竹組みの床に鮎を引き込むもので、夏の終わりに増水した時に落ちアユを獲る仕掛けである(これがわかりやすい)。昔はこれでアユ漁をしていたらしいが、今は漁が成り立つほど鮎はいないので、観光やなが僅かに営業している程度である。
川から鮎が少なくなったのはいつごろだろうか。自分が子供のころすでに観光やなで鮎を捕まえた遊びをしたような記憶がある。生家の近くの巴川に観光やな(松平やな)があった。そこも今は営業をしていない。採算が取れないらしい。

観光やなは、自然の落ちアユをあてにしては成り立たず、養殖鮎を客の注文に合わせて流す仕組みにしている。昨日行ったのは平瀬やなで、鮎のつかみどりの遊びは実にシステマティックであった。
まず、受付でつかみどりの申込をする。何匹欲しいかを告げる。やなには一組づつ入る。放送で名前を呼ばれてやなに入ると、今から流しますよと声をかけられる。すると、上流で誰かが鮎を流したような様子は見られないのに、流れ込む急流に乗って数匹の鮎がやなに上がって来て跳ねる。これを手でつかんでバケツに放り込む。予定通りの数が獲れると終了。約1,2分の遊びだ。引き上げてバケツを受付に持って行き、調理してもらう。塩焼き、素焼きで田楽、唐揚げのどれにするか選んで、食べきれなければ持ち帰りである。

どうやってやなに鮎を流すかを父親がスタッフに聞いてきた。生簀に飼っている養殖鮎を注文数だけタモで掬って、立ち入り禁止の小屋に入って行く。小屋の中には、川に通じるパイプがあり、そこに鮎を入れるとやなの少し手前の川底に設えたパイプの出口から流れ出る仕掛けだそうだ。その場所はすでに流れが速くてやな床に流されていくしかない。ほとんどロス無く(元気な鮎が上流に遡って行くようなことは無い)、お客の手元に届くわけだ。

仕組みはテーマパーク化していて、仕組まれた遊びとわかっていても、やはり鮎を手づかみで獲れることは楽しいのだ。子供も若いカップルも大人も皆楽しそうに興じていた。

雨が降って増水した翌日の明け方には、上流から落ちて来た鮎がやなにかかっていることがあるらしい。天然鮎か、放流された養殖の稚鮎が育った個体かはわからないが、そういうのを食べてみたい。

父親は昔は毎週のように川に鮎釣りに行っていた。自分も何度かやらせてもらったことがある。子供の頃は、一日で数十匹の釣果があって、家で塩焼きや炊き込みご飯にして食べた。大人になってからも1,2回行ったが、数匹しか釣れなかった。父は今年は一回だけ釣りに行ったという。歳も75だ。一日行けば筋肉痛になるので無理はしない。鮎釣りの方法には2とおりある。友釣りとガリだ。友釣りは、親アユという生きた鮎を一匹、釣り糸の先端に付けて、その親アユを追い払いに来る鮎を、親アユのお尻に仕掛けた針に引っ掛ける方法だ。鮎は縄張り意識があるので、知らない鮎が来ると追い払おうとする性質を利用する。釣り師は、親アユが弱らないように泳がせる必要がある。竿さばきには慣れが要る。下手に糸を強く張る様に流すと親アユは弱ってしまう。うまく釣れたら、活きのいい奴にどんどん替えていけばよい。もうひとつのガリというのは、親アユは使わない。糸の先端1~2メートルに10cmおきぐらいに針を付けておく。このたくさんの針の付いた釣り糸を川の浅瀬をひきずるように竿を振る。どれかの針に鮎がひっかかってくれたらOKという釣り方だ。生家の近くの川では、ガリができるのは夏の終わりごろに限られていた。中学生だか高校生の時に、このガリのための針の仕込みを手伝ったことを記憶している。針を何十個も糸に等間隔に結わえつける。余計な動きをすると、つけ終った針が腕にひっかかったりして痛い思いをした。釣る時も針同士が絡み合わないようにうまく空中に投げ、川の中に流すように入れる必要があった。岩にひっかかったりしてもやっかいだった。針と糸の絡み合ったのをほどくのをしていた時間の方が、釣っている時間より長かったような気がする。けれど、一度だけ、ガリで30cmほどの大物を釣ったことを覚えている。その嬉しさだけが救いである。

さて、平瀬やなでは、単品や定食の料理を出してくれる。鮎の塩焼き、田楽、唐揚げ、鮎の炊き込みご飯、ウナギの長焼きなど。炭火でじっくり焼くので少し待たされるが、川や山の風景を見てぼおっとして気長に待つ気で行けばよい。ただし、実を言うと非常に客が多く混んでいて、食事にありつくまでに2時間近くかかった。そこに着くまでは快適な山道のドライブで道行く車の数もまばらだったが、やなの駐車場には車が溢れていた。こんな山奥になぜ、と思うけれど、子供を川で遊ばせついでに食事を楽しむということを皆目当てに来ているのだ。
次に行く時は11時過ぎには着いてるようにしなければ、と思った。
今住む春日井市内のレストランと同じだ。土日の昼や夜の食事を外食しようと思ったら、昼は11時すぎ、夜は17時過ぎに入らないと待たされる。
しかし、こういう外食や遊びは朝から計画しておかないとスムーズに運ばないというのは考えものである。早く店に着いて待たずに席に着けるのはよいが、その時間ではまだ腹が空いていないという矛盾。
特別な食事は食べられないかもしれないけれど、結局、家で食事するのが一番良いのかもと、結局は思うのである。
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