直仁の「善き人のための」研究室

読書、ペーパークラフト、フィギュアスケート、散策などの雑感

ペーパークラフト再開 & グールド

しばらく猫に感けていて例の手仕事に取りかかる気にならない日が続いていた。
猫のことばかりでなく面白くてやめられない長編小説を読んだりその映画を見たりなどしていて毎週末が過ぎていた。夏もようやく暑さを弛めて今日は30℃を下回る涼しい一日。猫も心地よい風が入る窓辺で黄昏ている合間に手仕事にとりかかった。

阿修羅像、サグラダファミリアに続き、広隆寺の弥勒菩薩を作る。春に少し始めて土台と片足の先だけは作ってあった。

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21世紀ペーパークラフトさんが出版しているのは阿修羅像とこの弥勒菩薩の2種類だから他に選びようはないのだがどちらも好きな仏様だ。実はこのお二人は萩尾望都(光瀬龍原作)「百億の昼と千億の夜」で敵対者として登場する。主人公の阿修羅王がこの宇宙の外から来た者と戦うのだが、その者が弥勒菩薩の姿で現れる。萩尾さんは弥勒菩薩を広隆寺のではなく中宮寺の弥勒菩薩の姿を借りて描いているが、僕の趣味としては広隆寺のほうが好きだ。悪者として描くとしたら中宮寺の黒いお姿の方がどちらかと言えばイメージを作りやすかったのかもしれないが。それに広隆寺の弥勒菩薩は、その眼差しの先に深い慈しみがあるようでとても悪者にはできないと思うのだが、いれこみすぎだろうか。

今日は、上半身の一部を作った。首から胸にかけて。

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作りの難易度は阿修羅よりも易しいらしい。阿修羅の3つの顔と6つの手指は結構難儀だったことを思い出すと今度の弥勒菩薩はしっかり精密に組み立てられそうな気がして自分でも楽しみだ。ゆっくりじっくり進めていこうと思う。


さて、今日は朝食のあと一番にカミさんと一緒にベートーヴェンの交響曲第5番のリスト編曲版の演奏を聴いた。今、カミさんが10月のリサイタルで弾く曲として練習しているやつだが、グレングールドの演奏CDを聴いた。これは僕が仕事でお付き合いのある方からいただいたもので、その方はリサイタルにも東京からわざわざ来てくださる。リヒテルやケンプなどの大御所が来日したときには生で聴いたことがあるという大変な音楽好きな方なのだが、このプログラムに興味を持っていただいてこのような成り行きとなった。

グールドの演奏の特徴は、すでに多くのメディアで解説されているので僕が書くまでもないが、やはりWikipediaなんかはコンパクトにまとめられていて理解の一助になる。
曲を聴いたら誰でも気づくと思うが、テンポ設定が独特だ。第2楽章の遅さにもっとも違和感を覚えた。音が少ないにも拘らず、これだけ遅く弾かれると、オケ版を聴きなれている者としては多少のイラつきも感じてくるほどに遅い。4楽章で再現されるが、そこも同様に遅い。ところが、そこから戻るときに何とも絶妙にテンポが回復していったのには驚いた。ここまで聴いてから第2楽章を思い出すと、その遅いテンポを許してもよいと思えてしまうところが不思議だ。人というのは頭の中で期待されているものと異なるものを与えられると最初は嫌悪感や失望を味わうようにできているのだろう。しかし慣れてくればそれも許容できる柔軟さがある。かつて、ポゴレリチのリストのメフィストワルツを聴いたときに味わった絶望感が時間を追って思い出すたびに味わいに変わってくる経験をしたのと似ている。

カミさんは演奏者として、とてもためになったようだ。決して同じように弾こうというわけではない。グールドがどの音もきっちり出しているので、そこが勉強になるそうだ。対位法として音楽を捉えると言われているとおり、この演奏も主旋律と内声が競合するように聴こえてくる。そこは舞台での演奏には必ずしも向いていないように思えるのだが、音をないがしろにせずに向き合うという意味では、演奏者に対して模範的な姿勢をつきつけているのだろう。あとは、どういう場で何のために、何を表現しようとするかで音の強弱を決めればよい。
彼女は楽譜を繰りながら気がついたところにチェックを入れつつ、ところどころ頷きながら聴いていた。よい刺激を得て自分の演奏をブラッシュアップしていくのだろう。
グールドはこれをピアノ曲として仕上げた。カミさんは、オーケストラの音を表現したいと言っている。まったく志向が異なるとも言える。ある時期から演奏会を開かずレコーディングしか行わなかったグールドは、このCD(レコード)は何回でも聴くことができる演奏としての価値を追求したように思う。だから、演奏会で弾くときにグールドと同じように弾いても面白くないんじゃないか。一度きりの音楽に目指すべきものがあるはずで、それをおそらく外さずに仕上げにかかっていると思う。自分で言うのもなんだが期待に胸が膨らむ。

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