直仁の「善き人のための」研究室

読書、ペーパークラフト、フィギュアスケート、散策などの雑感

洒落てみる

少しばかりカッコよく着こなしてみたい、と頭の隅に思っていた。46歳。頭は前から禿げあがり、眉毛は垂れて、お世辞にもイケメンとは言えない。元プロ野球選手の古田さんに似ていると言われたことがあるが、猫背でなで肩で立ち姿も元気がない。そんな風に自信の無い風体であるのだが、少しオシャレしてみたい気持ちがあった。それで、5週間前、近くのSATYで帽子を買った。夏には日除けのためにキャップを被っているが、あくまで実用重視だった。禿げは禿げのままでいい。若いころは育毛剤をいくつか試し、シャンプーも気を使ったが諦めた。今は、髪の毛がほしいとは思わない。けれど、どんな服を着ても似合わない気がして、何がどうとは説明できないが、外でふと鏡を見ると残念な気持ちになるのだ。考えたのは、少し洒落た帽子でも被ってみよかということ。それで買ってみた。前からなんとなく気になっていた黒のハンチング(元狩猟用、鳥打帽だそうだ)だ。
これを被ると何かいまひとつ。眼鏡だ。眼鏡をするようになってからずっと、縁の細い、縁が目立たない眼鏡をしてきている。どこにもいるサラリーマンの眼鏡だ。これは、縁の太い眼鏡にすれば、ハンチング帽と合うと直感した。それで、次の週に眼鏡を買った。休日、プライベート用として。
こうなると、何を着るかだ。カミさんが、PARCOに行って、メンズのMSPCという店で、黒い丸ネックのTシャツを買ってきてくれた。生地の丈夫そうな、身体にぴったりフィットする細身に見えるシャツだ。黒縁の眼鏡を新調したので、黒いシャツにしてくれた。今までTシャツと言えば、旅行先で買う土産Tシャツがほとんどで、だぼっとした半そでしか持ってなかった。今回のシャツは長袖で、かなり袖が長い。着てみると、娘までカッコいいという。最近はやりの草食系男子に似合う形らしいが、自分の場合、まだ腹は出てなくて細身の上、胸と肩に少し筋肉が付いているので、より良いのだという。そんなものかな、と最初は今一つピンとこなかったが、他人から似合うと言われるとその気になってくる。
そして、それから2週間。時間ができたので、カミさんにPARCOのMSPCに連れてってもらった。例のシャツを着て、新調した眼鏡とハンチング帽を被って。これは、自分としてはかなり勇気が必要な外出だったはずだが、結局、眼鏡や帽子は、鏡がなければ自分では見えないので、しばらく歩くと何とも思わなくなった。ただ、行き交う人の頭にいちいち目が行った。帽子を被っている人を無意識に見つけようとしていた。居ない。ほとんどいない。JR、地下鉄、PARCO、LOFTと人ごみを歩いたが、ハンチング帽を被っている人はわずかだった。ま、いろんな帽子があるので、人それぞれだが。そのうち、自分がその帽子を被っているのがちょっとした優越感に変わってきているのを感じて面白くなった。なぜだかわからないが、このファッションに自分がハマっているという気がしてきたのだ。
MSPCに行くと、前にカミさんが相手してもらった若い店員さんがまた応対してくれて、カーディガンやジャケットを着せてくれた。20代と思われる店員さんは、見かけ、チャラ男っぽいが、話が上手で客慣れしている。11月になって急に冷え込んだせいで、カーディガンと一緒に皮ジャンも買おうかと思って両方着てみた。皮ジャンも身体にぴったりする作りで、この年まで試したことのない(しかし、若い人は皆きてるような)形だったが、思いのほか、動きにくくなく温かい。羊の皮と言ってたみたいだが、かなり上等なもののようだ。気に入って値段を聞いてびっくりした。やめることは簡単だった。しかし、もうその気になっていた。高いものは良いもの。良いものは高い。とは必ずしも成り立たないが、今回はたぶんそういうものだ。ま、何年に一度の買い物と思ってカードで買うことにした。着て行ったシャツによく合っていたし、普通の襟のあるシャツでも、色についても何でも合うと店員さんは言う。試しに店にある赤いシャツに合わせてみたが、違和感は無い。たぶん彼は嘘は言ってない。それで腹を決めた。このあと、店の中を見て回ると鞄もいろいろある。薦められて面白いポーチがあったが、高額だったので今回はやめた。しかし、今でも思い出す。ちょっと気になるポーチだ。もう少し気持ちが大きかったら買っていただろう。あるいは、1か月以内に買ってしまうかもしれない。
ポーチの代わりにというわけではないが、ビジネス鞄で良いものがあった。革製ではないが、革製に見えて、いま持っている安い鞄とは明らかに品の違いがわかる。ああ、もう。高額な皮ジャンを思い切った後はその鞄が安く思えた。それで買ってしまった。
結局、二つの買い物はその日一日を心豊かにしてくれた。何か良いものに出会った。良いものを手に入れた。きっと、いつまでも気に入って使うだろう。そういう予感にあふれた買い物だった。
まずは明日の出勤が楽しみだ。そして、次の休日が楽しみだ。もちろん、新しい鞄を持って会社に行き、新しい皮ジャンを着て、ヨガに行くのだ。
最後に、こんな気分にしてくれた愛するカミさんに感謝したい。ありがとう。
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