直仁の「善き人のための」研究室

読書、ペーパークラフト、フィギュアスケート、散策などの雑感

上橋菜穂子を読む楽しみ

我が家のリビングにある本棚の真ん中に目立つように4冊のカラフルな上橋菜穂子著「獣の奏者」が置いてある。今は、第4巻が抜けているが、これが僕には嬉しいことなのだ。というのは、カミサンがピアノを教えている小学3年の子がこれを借りていって読んでるからだ。その子は、以前図書館で獣の奏者の1巻と2巻を読んで大層好きになったらしい。完結したと思っていたこの物語の続編が最近出版されたわけだが、これをうちの本棚に見つけて読みたそうだったという。カミサンは僕に借りていいかどうか聞いてみるねと言って、そのことを僕に話してくれた。ああ、小学校3年でもこの本の面白さがわかるのだ、と感動し、好きにしていいよと伝えておいた。それで2週間あまり3巻が本棚から消えていたが、先週気がつくと3巻が戻り4巻が消えていたので、カミサンに聞くと、3巻よんで面白かったそうだとのこと。この物語は、3,4巻は少し政治的な話がでてきて込み入ってくるので小3にわかるかな?と思っていたが、どうも頭のいい子らしくて、それなりに咀嚼して読んでいるのだろう。

「獣の奏者」はNHKの教育テレビでアニメを放送している。少し、小さい子向けにアレンジしてあるし、絵も独特の描き方で雰囲気を出しているが、筋は原作を踏襲していて、僕も毎週楽しみに見ている。物語に出てくる「闘蛇」「王獣」といった架空の大型生物は本を読むだけでは自分で想像するしかないが、アニメでは著者の監修入りでそれら獣が描かれているので、まあこれをイメージして本を読んでも差支えないだろう。

物語の内容を紹介するには骨が折れるので余所に任せるが、分厚い4巻は面白くておそらく2,3日で読み終えてしまえるほど話の展開に誰もがのめり込むことだろう。上橋さんはテレビ出演で「ルール」という言葉を使って、物語の世界の秩序の大切さを説いていた。ルールが無いと荒唐無稽なただの空想話になってしまうファンタジーだが、上橋さんのファンタジーはどれも、世界があってルールがあって、その中で人々がさまざまな出来事に立ち向かい、傷つき、何物かを得ていく。ルールがあるから、もどかしく、それを破れないから祈りがあり、完全には解決しないで悲哀も含みながらひとつひとつのことがらが治まっていく。

上橋菜穂子さんの物語で他に有名なのが、守り人シリーズである。一作目は「精霊の守り人」で、これもNHKでアニメ放送があった。DVDも出ている。画が非常に精緻で素晴らしかった。ストーリーは若干異なる部分もあるが、原作の味がよく出ているし、アニメの主人公たちの風貌も「きれいな顔立ち」なので、気持ちよく原作が読める。この話で上橋さんの語りに魅了されて、「闇の守り人」「虚空の旅人」などのシリーズを読み、別作「狐笛のかなた」も面白く読んだ。基本的に上橋さんの物語に出てくる人は、それぞれに善い人だ。根っからの悪人はいない。悪人のように描かれていても、その人はその人の立場で一所懸命やるべきことを全うしようとしているので、それが主人公たちへの攻撃や嫌がらせであったとしても仕方がない。大人なのだ、皆。今、楽しみにしているのは、シリーズの文庫本が出ることだ。守り人シリーズは、半分が文庫本になっている。「蒼路の旅人」以降はまだ読んでなく、大型本や少し小さくした軽装版を買ってもよいのだが、あえて買わずに文庫本が出るのを待っているのだ。楽しみはあとにとっておこうという感じだ。あわてずに、その間、他のいろんな本も読みたいし、ってところだ。
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