直仁の「善き人のための」研究室

読書、ペーパークラフト、フィギュアスケート、散策などの雑感

「やるべきことが見えてくる研究者の仕事術」を読んで

先月、勤め先の研究所図書室で借りた「やるべきことが見えてくる研究者の仕事術」編著者:島岡 要 発行:羊土社(2009)を読んだので紹介する。
  ハーバード大学医学部研究者の著者が、日本の大学を飛び出して海外の大学で地位を築いていく実践過程で考えた研究者のキャリア戦略について述べた本である。研究者を技術者や開発者、あるいは、企業人と読み替えても当てはまる考え方が多いので紹介する。例えば、仕事のやり方=仕事力を身につけることが大事という部分。当たり前のようだが、仕事を遂行するために必要な技術や知識の習得に意識が偏りがちな人には必要な視点だ。研究者として仕事をすべき10の原則も,研究者に限らず必要なことだ。例えば,①興味を持てる得意分野を発見する、④現場で恥をかく、⑤失敗を恐れつつも、果敢に挑戦する、⑥自分の世界で一番になり成功体験する、⑧井の中の蛙であった事に気づき、打ちのめされる、⑨すべてを知る事は出来ない事を理解する、等。そのほか、仕事術として、説得力をもつプレゼンテーションの方法や、中年以降の英語力向上戦略(うまく話す事を目的としない、ネイティブと話さないなど、一見どういうこと?と思わせる)など実践的なアドバイスもちりばめて
いる。最も面白かったのは、強みについての議論である。人は自分の弱みについてはたくさんわかっているが、強みについてはわかっていないことが多い。弱みを一所懸命克服しても平均レベルになるだけで、人よりすぐれた成果を出すのは難しい。弱みの克服に時間とお金を投資するより、強みを見つけて強みを伸ばすことに投資したほうが、優れた成果を達成する確率が高い、という考えである。これは、欧米で提唱されているStrength-Based Approach(SBA仕事術)に基づく。強みというのは才能であり、才能は、「無意識的に繰返される思考、感情、行動のパターン」と定義され、誰もが持っているものである。これを認識して、適切に仕事に生かすということである。ちょっと考え方が変る議論である。詳細については別書「さあ、才能に目覚めよう」(日本経済新聞社)が紹介されている。


以上、ブックレビューとして、会社の社内イントラネット上の図書室のめるまがに掲載した。だから、とても会社向けに書いてある。文末にある「さあ、才能に目覚めよう」という本は、2000年ごろに出版されたようだが、一か月ほど前に寄った書店に山積みされていたので、そこそこ売れているのだと思って購入してみた。ここで言っている「才能」「強み」の定義については、実際にお読みになるとよいが、一般的に思われているのとはちょっと違う種類の言葉だと思ったほうがよい。34種類の才能(資質といったほうがよさそうな表現だが。たとえば、「回復志向」「親密性」といったような言葉)が挙がっていて、本のカバーの裏に印字されているキーワードを使うと、専用のURLから一回だけ、才能診断ができて、5つの才能が特定される。性格診断のような感じがするが、本に言わせればまったく違うという。これをもとに職業適性がわかるか、というとそうではないという。どのような職業についても、そこで、その人の才能を発揮できれば「成功」につながるのだ。自分は「成功」という言葉にはいつも胡散臭さを感じるが、まあ、そこは、仕事がうまくいく、ぐらいに考えたい。職業適性はわからないが、職務適性はわかるようだ。製造業に務めるサラリーマンでも、病院に勤務する場合でも、そこで、どのような仕事に就かせたらよいかは、本でいうところの才能の種類を見極めて適材適所に配置するのが賢い人事制度だという。マネージャに適しているのか、営業職がいいのか、現場がよいのか、適切な判断ができるということだ。確かに、今の会社の人事制度では、従業員の資質(本でいう才能)を客観的尺度で評価していないから、職務の与え方、配置は、上司の属人的な判断によるところが大きい。適材適所という言葉が実効性を帯びる可能性のある斬新な考え方かもしれないと思った。
関連記事
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。